足が不自由な家族のためにできる支援
加齢に伴い、足腰が弱ってしまうのは避けられません。
足が不自由になるとどのようなことが起こり、どのような悩みが生じるのでしょうか?
足が不自由になったご家族を支援するにあたって知っておきたい、不自由さに伴った困り感や悩みと、そんなご家族のためにできることをご紹介します。
足が不自由になるとどんな悩みが生じるの?
加齢によって足腰が弱ると、家族をはじめとする、周囲の人の歩調に合わせるのが難しくなったり、ちょっとした段差や接触でバランスを崩して転倒しやすくなったりしてしまいます。
「足が不自由になった」と感じている高齢者から最も多く聞かれる悩みは、「今まで自分で行えていた日常的な動作が思うようにできなくなってしまった」ということです。
歩行の際に杖や手すりが必要になったり、痛みや筋力の低下によって座った姿勢を保つことや立ち上がることが難しくなったりすると、それまでは当たり前にできていたことが容易ではなくなってしまいます。
ベッドからの起き上がりやトイレでの排せつ、入浴といった日常的な行為が1人では困難になってしまうのです。
日常的なことが1人でできなくなるということは、介護を行うことになるご家族にとっても大きな悩みとなるでしょうし、本人にとっても人の手を借りずに自分の身の回りのことは自分でやりたいという自立心、自尊心を傷つけられてしまうとともに大きなストレスを抱えることになってしまいます。
公共交通機関の利用で不都合なこと
外出の際にバスや電車などの公共交通機関を利用する場合、どのような不都合が起こるでしょうか。
バスに乗る場合であれば、まず、歩道からバスの乗車口への段差が大きな障害となります。杖を利用して移動していると、乗車口のステップの段を上がる際に杖が滑ることもあり、転ばないようにステップを上るのはひと苦労です。 電車に乗る場合には、駅のホームの床面に設置されている点字ブロックに杖がひっかかり、転倒する危険があります。駅のホームと車両の間のわずかな隙間も、乗り降りに不自由を感じさせます。
わずかな段差や隙間でも、足腰の不自由な高齢者にとっては大きな障害となります。思うように乗り降りができない、転びそうで怖い、といった不安から外出を控えるようになってしまう高齢者も多く見られます。自宅に引きこもることが多くなると、物忘れが進んでしまったり自宅での介護が増えたりと、ご家族にとっては大きな悩みとなるでしょう。
これ以上足腰を弱らせないための運動法
足腰が弱くなると平衡感覚も衰えます。平衡感覚が衰えると足元のふらつきが多くなり、転倒の大きな原因ともなります。運動によって足腰を鍛えることで足腰が弱るのを遅らせるとともに、少しでも不自由さを軽減させる方法をご紹介します。
部屋の壁を使った足上げ運動
壁に両手の手のひらをしっかりとつけて、ゆっくりと無理のない範囲で太ももを上げます。慣れるまでは、左右交互にゆっくりと足踏みをするように上げましょう。この運動は、椅子に座ったままでもできます。椅子に座って行う場合も、座った状態から左右の太ももを上げるだけです。
椅子を使って、腰上げ運動
椅子を使って腰上げ運動が行えます。
まず両足の裏が床にしっかりとついていることを確認し、そのままの状態から、少しだけ前かがみになって、上げられる高さまでお尻を持ち上げます。
手をつかずにお尻だけ上げるのが難しい場合は、テーブルのようにつかまれるものの前に椅子を置き、椅子の前のものにつかまりながらゆっくりとお尻を持ち上げましょう。持ち上げたお尻はできる限りゆっくりと下ろすようにします。この運動では、歩行の際に重要な、太ももの裏側の筋肉を鍛えられます。
高齢者にとって、加齢に伴う、足のふらつきや平衡感覚の衰えは避けては通れません。ここでご紹介した運動に毎日取り組み、足腰のふらつきの改善を図ってみてください。
まとめ
歩けることが当たり前の人にとっては、足の不自由なご家族の悩みはわからないことも少なくありません。足の不自由な人が日々抱えている、日常生活での不自由さや悩みについて理解を深めることはご家族に寄り添った支援を行うためにとても大切です。