在宅介護のメリットと始め方
在宅介護と聞いて「24時間拘束されるのでは」「在宅と聞くだけで大変そう」といった、ネガティブな先入観や誤解にしばられてはいませんか?
在宅介護は決して悪いことばかりではありません。
今回は、在宅介護を行うメリットと、その始め方についてご紹介します。ご自身の環境によって判断するようにしましょう。
在宅介護とは
在宅介護とは、介護を必要とする方が介護を受けながら自宅で生活することを指します。要介護者の家族が中心的な介護の担い手となり、訪問介護サービスや通所介護サービス(デイサービス)などのサービスを、いくつか組み合わせて活用しながら介護を行っていきます。一人ひとり必要とする介護が異なるため、「在宅介護」といってもそのかたちはさまざま。
介護者が、仕事のために日中留守にしている場合には「配食サービス」「訪問介護」「デイサービス(通所介護)」などを利用し、日中に必要な介護を補う例が多いです。例えば、きちんと食事をとれるよう昼食には「配食サービス」を利用し、夕方には「訪問介護」のヘルパーが訪問して家族の不在による不安をやわらげます。
また、介護者が帰宅後に入浴介助を行うことが大きな負担になるケースも。このような場合には、週の始めと半ばにデイサービスを利用することで、平日の入浴介助が不要になり、介護者負担を減らすことができます。
在宅介護のメリット
住み慣れた環境で介護が行えることで、リラックスしてそれぞれの状況に応じた方法で柔軟な介護をすすめられます。いろいろな視点から在宅介護のメリットを見ていきましょう。
介護者・要介護者それぞれのメリット
在宅介護には、これまでの生活スタイルを維持できるというメリットがあります。生活環境の変化にストレスを感じやすい高齢者にとっては大きなポイントです。 さらに、施設と違って規則がないため、諸問題に融通を利かせて対応することができます。例えば、何時までに何かを済ませなければならない、決められた手順で何かを行わなければならないなどということはありません。予定がずれ込んだ、介護の方法が合わない、といった場合に臨機応変に対応できます。
介護費用に関するメリット
自宅がバリアフリーでない場合には、在宅介護にあたって転倒や転落などの事故を避けるためにリフォームが必要になることがあります。しかし、施設に入所する場合と比較すると、結果的に在宅介護のほうが費用を抑えられることもあります。
スムーズに在宅介護を始めるには
在宅介護のメリットを最大限に生かすためにはきちんとした準備が必要です。スムーズに在宅介護を始めるためには、専門家のサポートが欠かせません。
まずは、最寄りの地域包括支援センターに相談し、ケアマネージャーの紹介を受けましょう。ケアマネージャーは、ケアプランを作成するとともに介護サービスの提供者との連絡調整を担当するなど、それぞれの家庭に適した介護をサポートする専門家です。ケアマネージャーとの面談の際に、在宅介護を始めるにあたっての不安や悩みを相談できるよう、事前に家族で話し合っておきましょう。介護をする側だけでなく、介護を受ける方の思いや考え方も尊重することは、介護を始めてからの各サービスへの満足度や安心感、信頼度を高めることにつながります。
まとめ
介護に決まったかたちはありません。それぞれのご家族の状況に応じて工夫しながら行っていくことが大切です。活用できる制度や資源(介護保険制度、デイケア、訪問介護、訪問看護、福祉用具)を効果的に取り入れていくことも在宅介護を無理せずに長続きさせていくポイントのひとつです。在宅介護に関心のある方は、できることから少しずつ準備をすすめてみてください。