地域包括支援センターの役割
介護について心配事や悩みがあるときに大きな支えになるのが「地域包括支援センター」です。
名前を聞いたことがある人も、実際どのような施設であるかご存じでしょうか?
地域包括ケアシステムとは
地域包括支援センターは「地域包括ケアシステム」の一環とされています。地域包括支援センターを理解するためにも、まずは「地域包括ケアシステム」について理解を深めましょう。 日本は超高齢化社会であり、4人に1人が高齢者といわれています。そんななか、仮に重度な要介護状態となったとしても住み慣れた地域で最後まで自分らしく生き続けられるように高齢者を支援していくことが大きな課題となっています。そして、これを受けて、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的にしたケアを提供する仕組みが「地域包括ケアシステム」です。このシステムは、高齢者の自立生活の支援と高齢者の尊厳を守ることが目的とされています。団塊の世代が75歳以上となる2025年をひとつの目途として、システムの構築が進められています。
地域包括支援センターとは
地域包括支援センターは、市町村などの自治体が設置したもので、地域包括ケアの実現に向けた中核的な機関として位置づけられています。その役割としては、地域に住む高齢者の総合相談、権利擁護や地域の支援体制づくり、介護予防のための援助、高齢者の保健医療の向上および福祉の増進を包括的に支援することです。 全国で約4,300か所が設置され、支所を含めると7,000か所以上(平成24年4月末現在)に達しており、地域で生活する高齢者とその家族のより身近で生活を支えられるよう整備が進められています。
地域包括支援センターの業務内容としては、大きく次の4つが挙げられます。
- 地域住民が安心していきいきと過ごせるようにあらゆる権利を守ること
- 介護だけでなく、医療、福祉、生活に関わるあらゆる総合相談を受けること
- 要支援・要介護の認定を受けた人や受ける可能性のある人が地域で自立して生活できるよう、介護保険や介護予防事業などを活用して支援すること
- 暮らしやすい地域を目指して、いろいろな機関と連携しながらケアマネジメントの体制を調整する
こと
上記の専門的なサポートを行うために、地域包括支援センターには、保健師もしくは経験豊富な看護師、ケアマネージャー、社会福祉士などが勤務しています。
それぞれの役割は以下のようになっています。
保健師もしくは経験豊富な看護師
健康、医療、介護予防を専門とし、介護予防ケアマネジメントを担当します。
ケアマネージャー
介護全般を専門とし包括的・継続的ケアマネジメント支援業務を担当します。
社会福祉士
介護や生活支援、消費者被害などを専門とし、権利擁護、介護だけでなく医療・福祉などあらゆる総合相談業務を担当します。
地域包括支援センターを活用してみよう!
地域包括支援センターを活用するメリットは、各分野の専門家がチームでサポートする体制が整っているので、介護についての悩みにしっかりと対応してもらえることです。仮に、センターに勤務していない専門家のサポートが必要になった場合でも、たらい回しにされることなくスムーズに必要な支援を受けられます。介護についての悩みや気がかりなどがあるときには、どんな小さなことでも地域包括支援センターに相談してみましょう。
お住まいの地域の地域包括支援センターの検索方法
お住まいの都道府県のホームページを検索、地域の保健センターや社会福祉協議会に問い合わせる、自治体の介護相談窓口に問い合わせるなどの方法で、お住まいの地域の地域包括センターについての情報を得られます。
相談対応内容とその流れについて
高齢者が、自立した生活を送っていくことを目指すなかで抱える気がかりや悩みについて、介護の有無やその程度、病気や同居する家族の有無などにかかわらず相談できます。相談を希望するときには、直接地域包括支援センターを直接訪れることも可能ですが、電話で相談したい内容を伝えておくと、専門家からスムーズに十分なアドバイスやサポートを受けられます。
まとめ
介護の悩みはいろいろな場面で出てきます。そんなとき1人で抱え込んで、あれこれと悩むことは、介護者にとって大きな負担になってしまいます。悩みがあるときは、地域の地域包括支援センターを上手に活用し、専門家に相談したり、助言を受けたりしながら介護にあたりましょう。